SEEDA / 親子星

作品のデータ

Title	親子星
Artist	SEEDA
Release	2025/03/21
Label	CCG
Link	Amazonで確認 / 配信リンク

レビュー

1990年代末から活動を続けるラッパーのSEEDA（シーダ）が2025年に発表した11枚目のソロ・アルバム『親子星』。2012年にリリースした『23edge』以来、13年ぶりのソロ・アルバムとなる。

アルバムには、先行シングルとして配信された「Slick Back ft. Tiji Jojo, Myghty Tommy & LEX」、2021年に亡くなった、SCARSの盟友STICKYに捧げた「Kawasaki Blue」、2006年にリリースされた名盤『花と雨』収録の「Daydreaming」の続編「Daydreaming pt.2」、2009年の“TERIYAKI BEEF”の当事者同士が初共演した「L.P.D.N. ft. VERBAL」など、13曲を収録。

そんな話題となる楽曲が並ぶ中、一番のお気に入りは、3曲目「OUTSIDE ft. IO & D.O」。歴史的名盤『花と雨』をリリースした頃のシーダを彷彿とさせるフローや曲調にノスタルジーが感じられてエモい。

スタイリッシュで洗練されたスタイルのIO（イオ）とイリーガルなストリートライフを歌うD.O（ディー・オー）の組み合わせって意外だなと思ったけど、McGuffinの対談を見ると、IOって駆け出しの頃、D.Oの周辺で下積みしていたのか！もともと繋がりがあったわけですね。

6曲目「L.P.D.N. ft. VERBAL」は、昔からのリスナーとしては驚きの共演となる、シーダとVERBAL（バーバル）の組み合わせ。久しぶりに聞いたバーバルのラップは、リズミカルかつスムースなフローがとにかく心地よい。バーバルってこんなにラップが上手かったのかと今更ですが気づきました。

シーダとバーバルは、2009年に勃発した「TERIYAKI BEEF」の当事者同士。ただ、シーダ側が一方的に仕掛けただけで、バーバル側はやり返すわけでもなかったので、消化不良に終わったビーフ。覚えているのは、この動画だけ。

「L.P.D.N. ft. VERBAL」のトラックには、Nujabes（ヌジャベス）の楽曲「Luv(sic) Part 2 feat.Shing02」と同じサンプリングの元ネタを使用。世代や国を超えて、今も世界中で愛され続けている、ヌジャベスとShing02による不朽の “Luv(sic)” シリーズの中でも一二を争う人気曲の「Luv(sic) Part 2」。シーダ曰く、あれ（Luv(sic) Part 2）が、日本のヒップホップにとって、平和の象徴だ

このアルバムのハイライトが、12曲目に収録されたタイトル曲の「親子星」。父と子をテーマにした楽曲で、リリシストとしてのシーダの魅力に溢れた名曲。父親としてダメな部分をさらけ出しながら、飾らない家族への思いが歌われていて、子がいる親だったら誰もが心に響くリリック。これまで生きてきた人生の経験をのせた、哀愁が漂うエモーショナルなラップが最高に美しい。シーダの代表曲「花と雨」に並ぶ、傑出した作品で、間違いなく、多くの人に愛され続ける日本語ラップ・クラシックになるはず。